「無条件」の自分の価値と向きあう 

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プロフィール

学年:13期生 
出身:山梨県 
留学先:アメリカ合衆国アイオワ州 
在学中力を入れた活動:軽音楽部、ドラマーとしての個人の活動、ドラムレッスン、学祭実行委員企画舞台など 

卒業後から現在までの略歴:2020年8月に卒業後、2021年3月まで山梨県甲府市の公立中学校に「学習指導員」として勤務し、主に数学と音楽の授業を補助。2021年よりメーカーに就職。地元山梨県の工場に配属され、人事を担当。

はじめに

私はAIU入学当初から、自分自身に猛烈な劣等感を抱き、比較的内向的な学生生活を送っていました。しかし、学生生活、そして社会人生活を経て徐々に考えが変わり、自分自身に対する考え方が確実に良い方向へ向かいつつあると感じています。今回はこの考え方の変化を振り返り、読んでいる皆さんにも何かポジティブなエネルギーを伝えられたらと思い、執筆させていただきたいと思います。

「条件付き」での 自分の価値

高校時代、学園祭でのバンドの発表で幼少期から続けているドラムを演奏し、会場を大いに盛り上げた一方、演奏が終わってみると、学園祭を一緒に回る友達がおらず一人で時間を潰していました。今思い出してみてもとてもつらかったこの経験から、私はいつの間にか自分を「ドラムを演奏していないと価値がない」という「条件付き」の自分でしか認められなくなっていました。 

そういった惨めさも含め自分をなんとか変えてみたいと思い、AIUに入学しました。しかし、軽音楽部に入ると、自分より上手いドラマーや、ライブ時に自分の倍以上の集客力がある人など、強者揃いでした。自分にはドラムしかないと思っていたが故に、その唯一の存在価値を上回る方々が多くいる環境に打ちひしがれたのを覚えています。また、1、2年生の間はこの他にも、周りが積極的に友好関係を深め、部活やクラスに関係なく遊んだり飲んだりしている中、自分が取り残されているようで、劣等感に苛まれていました。 結果、自分の自己肯定感を保つためによりドラムの練習に依存したり、周囲に積極的に関わりにいけない自分を責めて落ち込むことも多かったです。

留学前の転機

しかし、少しずつですが関わる人が増え、関係が続いていく中で、私の周りの人は私がドラムが上手いから仲良くしてくれている訳ではないことに気づいていきます。きっかけは留学前に軽音楽部員からもらったメッセージカードでした。そこに書かれていたのは、私の技術に関することよりも、音楽に対する情熱、まっすぐな姿勢、努力、頼り甲斐、謙虚さなど、私の内面を気に入ってくれたり、刺激を受けたという言葉が多かったのです。この時は自分自身にこのような魅力があると認識しておらず、読んだ時にはとても驚いたのと同時に、ちょっと泣きそうになるくらい嬉しかったです。

また、帰国後も、演奏を見たことがなくても私へ声を掛け、仲良くしてくれる友人が増えていきました。これらの経験から、自分は「○○ができるから/しているから」価値があるのではなく、何をしていようがしていまいが、ありのままの自分自身、性格や考え方に対して「親しくなりたい、関わりたい」と思ってもらえるような価値があるのではと感じるようになりました。それから徐々に自然な自己肯定感を持つ事が出来るようになっていった気がします。結局のところ、自分自身が勝手に自分に条件をつけて卑下していただけだったのです。正確には卒業後に意識するようになりましたが、私が最初に「無条件の自分の価値」に気付いた経験だったと思います。 

のちに私はNYLB(ニューヨークライフバランス)研究所という機関の講座を通じて「ポジティブ心理学」という分野を学ぶことになりますが、そこで

・人は誰しも「性格の強み」を持っており、それはいい時もそうでない時もその人の中にある、その人をその人たらしめる大切な特性である

・自己肯定感には2種類あり、人と比較して優れていることから生まれる「条件付きの自己肯定感」と、自分の良いところも悪いところも含めて好きでいられる「条件付きでない自己肯定感」がある

ということを知りました。

その上で高校・大学・社会人生活を振り返ってみると、確実に自分の内面にある「強み」に気づけたことで、スキル・才能や、誰かと比べた結果ではない、自分自身の価値を感じられるようになってきていると思います。(「無条件」という言葉で認識できるようになったのもつい最近です) 

劣等感があったとしても

あくまでも私の感覚ですが、日本で生きていると、どうしても見た目や「○○をした経験/○○ができる才能やスキル」といった、外から見て分かりやすいステータスで注目される事が多いと感じています。そして昔の私がそうであったように、他者と自分のステータスを比較して劣等感を抱き、苦しい思いをする人も同様に一定数いらっしゃるのではと思います。それこそAIUは多様な能力や個性をもつ学生が集まってきているため、誰もが何かしらの劣等感を経験しうる環境なのかもしれません。それは決して悪いことではなく、自然なことだと思います。

ただ私が気付いたように、どんな人にもいい時・悪い時にかかわらず、無条件に備わっている価値があります。そしてそれは意識しなければ、案外自分では気づかないものなのかもしれません。この無条件の価値に気づき、自信に繋げる事が出来れば、様々な事に挑戦したり、物事にポジティブに取り組めるのかなと感じます。自分自身になかなか自信が持てない方に少しでも私の経験が参考になればうれしいです。

P.S. YouTubeチャンネルで不定期的にドラム動画を配信しています。ご興味ある方はぜひご覧ください。https://www.youtube.com/@hillotodrummer8225

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