プロフィール
7期生 岩手県盛岡市出身
留学先:アメリカ合衆国ペンシルバニア州
卒業から現在までの略歴:2015年に卒業後、商社に入社。2020年から2回目の海外赴任でタイに駐在中。
はじめに
皆さん、突然ですが、この記事を公開した8月6日が何の日かご存知でしょうか。
秋田竿燈まつりの最終日です。
竿燈まつりは、秋田で開催される東北三大祭りの一つに数えられ、曜日を問わず、毎年、8月3日から6日までの4日間開催される五穀豊穣を願う夏祭りです。新型コロナウイルスの影響により2年間中止されていたため、今年は3年ぶりの開催となります。AIUの学生たちはもちろん、再開を心待ちにしていた全国各地からの観光客で大変な盛り上がりを見せているようです。
竿燈LIVE映像:https://www.kantou.gr.jp/eventa/item.cgi?pro&41
そんな秋田竿燈まつりを紹介している私ですが、今はタイにいます。遠く離れたタイから、私が秋田と繋がり続けることで感じてきた想いがあります。AIU卒業後の私の秋田との関わり方を通して、想いを持ちながらも燻っている卒業生の同志を見つけたいと願って、この記事を投稿させてもらいました。
竿燈との出会い
四半世紀と少しの人生の中で、5年間だけ過ごした場所、秋田。縁もゆかりも無かった土地に、卒業後も足を運ぶようになりました。その大きな理由の一つが秋田竿燈まつりです。
竿燈まつりの魅力は「動と静の融合」という言葉に凝縮されます。「どっこいしょ!どっこいしょ!」の掛け声と、囃子方(はやしかた)の盛り立てが織り成す「動」の雰囲気の中、竿燈を上げる差し手は、ピタリとも動かない「静」が求められるのです。
将来、海外での活躍を夢見て入学したAIUですが、「せっかくなら留学前に日本の歴史的文化に触れておきたい」と単純な気持ちから竿燈会に入りました。そんな私も、動と静の空気感はもちろん、伝統文化を継承される方々との出会いや交流を通して、竿燈にのめり込んでいきました。
竿燈を通して見えた秋田の姿
大学卒業後は、AIU竿燈会のOBとしてだけではなく、秋田市内の古くから続く町内会の一員としても活動を始めました。町内会の一員となって感じたのは、文化の継手となる若い世代の減少でした。毎年、観光客が増えていく一方、若者を中心とした県外への人口流出や出生率減少によって、竿燈まつりの担い手が目に見える形で少なくなっているのです。授業やニュースで見聞きした人口減少(や過疎化)を、自分事として感じることになりました。
いつの間にか「心のふるさと」になった秋田で、自分が大好きな竿燈を盛り上げていきたい、この伝統文化を守ることで、秋田へ貢献したいという気持ちが芽生えていきました。
ジレンマ
一方で、幼い頃からの夢だった「海外で働くこと」と「竿燈まつりに参加し続け、秋田で活動すること」は、相容れません。秋田で就職や起業をして活躍する卒業生を横目で見ながら、「自分はこのままでいいのか?」という焦りが生まれ、やりたいことばかりで折り合いのつけられない時期もありました。
そんな中、町内会のある大先輩が「秋田で育った若者が海外で活躍すること自体が秋田の自慢。辛くなったら、いつでも帰ってきてリフレッシュしたらいい。今の環境でできることをやり切ったと思ったら、いつでも秋田は待っている。秋田に執着するのではなく、秋田を原動力にしなさい。」と言葉をかけてくれました。
この言葉で、秋田との関わり方は、必ずしもそこに住むことや働くことだけではないと気づかされました。自分のアイデンティティの何処かに「秋田」というキーワードを残し、何か自分にできることはないか、どんな関わり方ができるかを模索し続ければいいと気持ちが軽くなりました。
私の秋田との関わり方
少しでも秋田に貢献したいという願いから、大切にしていることが二つあります。
一つは秋田のために繋がっている誰かの活動に「共鳴」する事です。自分ができていないと嘆くのではなく、何かの活動に遠隔で参加したり、自分ではない他のプレーヤーをサポートしたり、秋田への想いの輪を広げていくように意識しています。
このAIU ALUMNI COLORS企画についても、活動を知った時に「ぜひ運営に参加したい!」と責任者に直談判し、事務局の一員として手伝わせてもらっています。
また、AIU竿燈会の卒業生組織を整備することで、竿燈まつりを経験した卒業生や留学生などが、会員の減少で悩んでいる町内会に対して、まつりの開催期間中、様々なサポートができる仕組みづくりも進めています。
もう一つは、自分にできることからコツコツと秋田と繋がり続けることです。社内では秋田好きをアピールし、東北関連ビジネスの担当者と情報交換するように心がけています。また社外では、秋田県内の起業コンテストに参加したり、ここタイでも秋田県人会に参加したりしています。
そんな小さな活動を続けていたところ、社内の先輩に紹介してもらった東北物産展の関係者と、私が参加した秋田県内の起業コンテストの関係者が偶然にも繋がったことで、「タイで何か東北を発信するような面白いイベントを一緒にやろう!」と私にも声がかかり、3人で「タイに竿燈を呼ぼう!」と密かに野望を持つようになりました。さらに、タイで出会った秋田の企業からスポンサーの申し出も加わり、小さな野望が本当に実現できるかも!と今とてもワクワクしています。
私ができることの一つひとつは、小さな行動かもしれませんが、その行動が繋がった時のパワーの大きさを想像しながら、行動し続ける大切さを実感しています。
おわりに
AIU卒業生の中にも秋田が好きで、「いつかは秋田で何かしたい!」と内なる想いを持つ方々がいらっしゃるのでは?今では無くても、離れていても、関わり方は沢山あるはずです。
もしかしたら、この記事を読んでくれた方の行動と私の活動が繋がって、とてつもなく大きな化学反応を起こすかもしれません!
私と同じように秋田が大好きな方、秘めたアイディアをお持ちの方、ぜひ一緒に秋田の外から、今では無い、いつかのために、語り合いませんか?ご連絡をお待ちしています!
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