プロフィール
学年::7期生
出身:東京都
留学先:ラトビア共和国
在学中力を入れた活動;時事問題研究会、サービストラベルICC
卒業後から現在までの略歴:卒業と同時に結婚、30歳にして3児の父となる。卒業後は鉄鋼メーカーで勤務。生産管理、国内外営業を経て、現在アウトソーシング・マネジメントを担当。
はじめに
スポーツや芸術の才能はまるでなく、かと言って机に何時間も向かってコツコツ勉強が真面目にできるわけでもない。そんな強みのない自分がAIUに入り、自分の個性とは何かを探して奔走し、社会人となり父となる中でようやく自分なりの個性の定義を見つけつつある。
そんなここ最近までの自分の歩みを、このAIU Colorsの場を借りて整理してみました。もしかしたら同じ悩みを持つ卒業生に何かポジティブなメッセージが届けることができればうれしいです。
個性を探しもがいたAIU生時代
AIU生時代、とにかく人より目立とうと多くのクラブ・サークル活動等に参加(時事問題研究会、サービストラベルICC、テニス部、写真部、ドイツ語部、パイプ委員会、政策評価研究会等)し、中途半端になってしまった活動も多くあったものの忙しい日々を送っていました。
留学先はまだAIU生が誰も行ったことのない国という理由でラトビア共和国を選び、卒業後は日本経済への寄与を体感できるスケールの大きな仕事がしたいとの思いから鉄鋼業界で働くことに決めました。
そして卒業式から入社式の合間に当時後輩だった妻と結婚し、ある意味希望通り人と少し違った学生生活、社会人生活のスタートを切りました。
夫、父、会社員として
AIU生時代人と違った自分を目指してがむしゃらに駆け抜けた結果、自分は個性的な人間になれたと思っていました。でも、何も中身が伴っていないのではないかと思うようになってしまいました。
入社し最初に配属されたのは千葉県の工場で、めっきを施した鋼板にカラー塗装を行うラインの工程管理を担当しました。一年程経ちようやく仕事を覚えてきたところで、本社に異動し、同時期に長女が産まれました。
本社では主に自動車用鋼板の海外営業と国内営業を経験しました。海外営業では台湾やタイへの海外出張の機会が有り、久しぶりの海外に心が躍ったりもしました。国内営業では社外の方との折衝が多く、国内でも色々な物事の考え方、価値観があることを学びました。その間、長男が産まれ、家族の生活を守るためにも毎日朝から夜遅くまで仕事に励み、いつしか自分のことを考える心の余裕を失っていました。
そんなときふと思ったのです。
「会社員として毎日くたくたになるまで気力も体力も使って働いている自分のことを誰も評価してくれない。そもそも自分には個性と言えるものが何もないのではないか。何か一つでも一番だと人に自慢できる様なものが自分にはあるだろうか。何もないから人から評価されないのではないか」と。
ピアニスト、シェフ、アーティスト、野球選手、起業家、消防士、警察官、医者、カフェオーナーといった職業に対してコンプレックスを持ってきました。それはこれらの職業に従事する人は何か人に負けない圧倒的な強みを体現していて、自分には眩しすぎたからです。
気づき
この4月から大阪に転勤となり、家族で東京から引っ越してきました。6月には第三子である次男が産まれ守るべき家族がまた一人増えました。今は製鉄所の中で構内輸送や梱包等の作業を担う協力会社との契約管理等を主に担当しています。アウトソーシング・マネジメントは今や業界を問わず各社の経営戦略の中核の一つであり、非常にやりがいのある仕事です。
今回の異動をきっかけにこれまで自分のやってきたことを振り返る機会が増えました。常に忙しい仕事、家族が増えていく喜びとプレッシャー、仕事と家庭のバランス調整の中で最近得た気づきがあります。それは、何か一つのことを極めたり、手に職を付けたりして人から評価されることだけが個性ではなく、人より少しだけ頑張ったこと、ちょっとだけ得意なことを複数掛け合わせていくことでも自分の個性となるのではないかということです。
これまで経験してきた工程管理や営業の仕事は、何か突出したスキルを身に着け発揮するといった性質のものではないと思い込んでいました。工程管理担当として実際にものづくりを現場で行う方と会社の生産計画を繋ぐ、営業担当として見積り作成、お客さんとの交渉、納期調整を行う、外注管理担当として実際に現場で行われるものづくりの基盤を整備する。実はどの仕事も、一つの目標達成に向けて人を巻き込みながら調整を行うといった類の仕事をこなしてきたことに気づきました。
家庭でも妻や子ども達を海外旅行に連れて行ったり、特別な体験をさせてあげたりできるわけでもありませんが、限られた日々の時間の中で、記憶に残る楽しい瞬間を一つでも多く家族皆とつくっていくことを目指してきました。
他の人には真似ができない特別なことをする能力はなくても、人よりちょっと調整業務が得意かもしれない、人よりちょっとだけ生活の中に些細な楽しみを見出すのが得意かもしれない、といったことが掛け合わさって、結果、それが自分の個性になってきていると思える様になりました。掛け算する対象となる自分のスキルや気質が増えれば増えるほど個性的な自分になっていくのではないかと思いました。
今は人よりほんの少しだけ詳しいことを増やすため、様々な資格の取得を通して基礎を学ぶことをテーマにしています。貿易実務検定、マーケティング検定、ITパスポート試験やロシア語、ドイツ語検定を取得し、これからは簿記試験や基本情報技術者試験等を受けていく予定です。
おわりに
AIUの卒業生の中には自分の様に社会人になったときに、これといった得意分野がない、そんな自分には個性がないのではと悩む方がもしかしたらいるかもしれません。でも、地道だとしても人と違った個性はきっと創っていけます。
元リクルート社員・教育者の藤原和博氏の言葉を参考に言い換えさせて頂けば、もし10人に1人の人材になれるものがたった5つでもあれば10万人に1人の人材、大組織の中でも埋もれない唯一無二の人材になれるチャンスがあるということです。
これからも「少しの得意」のたくさんの組み合わせで自分らしい個性を発揮していけたらと思います。
ここまで記事を読んでくれた方と、いつかどこかで、自分の強みや個性、資格取得、仕事と家庭等いろんなテーマで語り合えたら嬉しいです!
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