コロナと脱サラとスペイン移住

はじめに

¡Hola! 皆さんこんにちは、お久しぶりです。

私はまだAIUを卒業してから4年ほどですが、その間に就職、退職、国際結婚、そしてスペイン移住！とライフイベントがてんこ盛りでした。在学中には想像もしていなかった社会人3年目のスペイン移住でしたが、移住して2年がたった今、どうしてこの決断をしたのか、その結果どんな暮らしをしているのか、私の経験を少しシェアさせてもらおうと思いこちらの記事を寄稿しました。卒業生の中には同じような経験をされている方や、退職や移住という決断に悩んでいる方がいるのではないかなと思い、そんなみなさんとの出会いのきっかけにもなれば嬉しいです。是非こんな人もいるのだな、と読んでいただければ幸いです。

プロフィール

12期生
出身　埼玉県
留学先　オーストラリア　クイーンランド州　グリフィス大学
留学先でやってみたサーフィンにどハマり。

経歴　電子機器メーカーのセールスアンドマーケティング部門に入社、2021年夏に退社しスペインへ移住〜。在学中の活動　V-ACT(フィリピンに焦点を当てた国際協働団体)で毎年夏休みにフィリピンへ渡航し現地の皆さんとお祭りを開催したり、学内では、フェアトレードの商品の販売会など行ったりしていました。国際協力に関心があったので、兄のいたウガンダに遊びに行ったりもしました。留学後は同期を巻き込んで、授業の間にサーフィンしに海に通っていました。

コロナと脱サラとスペイン移住

前述の通り、私は入社3年目に勤めていた会社を退職しスペインに移住してきました。現在はスペイン北部ガリシアの片田舎で平日は夫と2人暮らし、週末や休暇は義実家で過ごす生活をしています。

なぜ、3年目に退職をしたのかというと、コロナ禍で結婚を決意した時にまだ婚姻関係になかった夫を日本に連れてきて結婚するよりも私がスペインに行く方がより早く、確実に実現できそうだったことが決め手でした。私はもともと海外に住んで働きたい、自分の家庭を持ちたい、という夢がありました。就職した当初は、勤めていた企業でキャリアアップして駐在などの形で海外で働く経験をしたいと考えていました。しかし、夫と出会い、結婚を考えたときに、スペインで仕事を見つけて家族と定住するという新たな選択肢が生まれました。

また、日本での仕事中心の生活にかなり疲れを感じていたこともあり、ここで思いきってライフスタイルを変えてみるのもいいかなと思い始めました。

スペインには一度旅行で行ったきりでしたが、とても魅力的な国だと感じてたので、そこに住むことに抵抗がなかったというのも大きな要因だったと思います。とはいえ、安定した職業、収入を捨てて、住んだこともない国に移住するという決断に不安がなかったわけではありません。私の場合その不安は、会社員時代にある程度自分が安心できる貯蓄を準備し、移住後に安定した職につけるまでに在宅でできる仕事の目処をつけておくことで少しは払拭することができました。それまでの仕事にワークライフバランスが大きく偏重していた生活で疲れてしまったこと、子供を持つことを視野に入れたときに家族で過ごす時間をとても大切にしているスペインの文化の良さを感じたことも相まって、最終的にはスペインでの生活に飛び込んでみようと決意しました。

スペインでの生活

会社を退職した翌月には結婚の書類を揃えてスペインに引っ越してきました。留学とは違って片道切符だけを持って日本を発つときは、新たな生活にワクワクする気持ちと、簡単には後戻りできないぞという気持ちが入り混じったはじめての感覚でした。ワーキングホリデービザで入国し、結婚の手続きが無事に済んで、今年の初めに晴れてスペイン在住者となりました。

現在、私は平日はオンラインで英会話講師の仕事を半日し、それ以外の時間は家事、趣味、スペインの勉強にあてています。週末や休暇のほとんどは義実家で過ごしています。日本での生活と比べると収入は減りましたが、時間に余裕が生まれたことで、心に余裕が 生まれ、日々の中に楽しみが増えました。1つは趣味のサーフィンです。ガリシアは夏のバケーション先に人気になるほど美しいビーチがたくさんあるので、アトランティックオーシャンでのサーフィンを満喫しています。

また、興味はあったけれど手は出せていなかった刺繍やイラスト作成、曼荼羅アートなどに新たな趣味にチャンレンジしてみたり、もともと料理好きなので、スペインで手に入る食材でいかに美味しく和食を作れるかを日々研究したりしています。スペインならではの地元の市場でのショッピングもお気に入りです。現地の人に混じって、食材を吟味したり、お店では取り扱われなくなった洋服や靴などが格安で販売されていたりもするので、日本ではなかなか経験できない買い物の仕方を楽しんでいます。特に地元で作られた焼き立てパンや新鮮なチーズ、チョリソーは最高に美味しいのでついつい買いすぎてしまいます。また、農業未経験の私でしたが、義実家の農地で野菜や果物の栽培、収穫をお手伝いをすることもあります。どうしても日本の食べ物が恋しくなるので、入手困難なサツマイモや枝豆などは自分で植えて供給しています。先日収穫したさつまいもを焼き芋にしたところ、家族に大好評でした。自分たちで育てたものを収穫して食べるようになったことで、食事の時間もより豊かになりました。地域の伝統的な料理を教えてもらいながらガリシア料理も修行中です。

言葉の壁は厚い？

という形でとんとん拍子に進んだスペイン移住ですが、やはり、観光で見ただけの国に住むとなると良いことばかりではありません。

私の場合、1番大きな問題は言語でした。移住前は仕事の忙しさを言い訳に、また住めばすぐ話せるようになるだろうという楽観的な考えの持ち主でもあった私は、日本にいた頃にはスペイン語の勉強を全くしていませんでした。そのため、せっかくAIUで履修したSPANISH1の内容をほぼ忘れ果てた状態の私は、夫の家族、親戚とコミュニケーションを取ることにかなり苦戦しました。おまけにスペインは週末になれば両親だけでなく叔父叔母、従兄弟、多くの親戚が集まって食事を共にすることがよくあります。ワイワイ楽しそうに過ごす家族の中で、自分だけが何を言っているのか分からない、気を遣って声をかけてもらっても満足に会話が成立しない、ということには、かなり歯痒さを感じました。

また、私の移住先はかなりの田舎です。そのため、英語が通じないどころか、スペイン語よりもガリシア語という地方独自の言葉を話す人が大半で、ますます言われていることがわかりません。みなさんお馴染み秋田市雄和の様子を思い浮かべてもらうとわかりやすいと思います。みんな秋田弁で話しかけてくるような感じです。さらに車社会でどこに行くにも車が必要になりますが、スペインではほとんどの車がマニュアル車で右側走行。免許の取得手続きも、教習所で運転の練習をするにもスペイン語、どこに行くにも、何をするにも言葉の壁があること、誰かに頼らなければなからない無力感は、全く想像を大きく超えてきました。

やはり基礎スペイン語が０、夫婦間でも仕事も英語が主な生活では、住んでいるだけでスペイン語は上達するはずもありませんでした。ここまでの危機感を感じて初めて、私は重い腰を上げ、勉強を開始しました。今は買い物で欲しいものを伝える、レストランで注文する、バスや電車の乗り継ぎを訪ねるくらいが精一杯ですが、それでもすこしスペイン語が分かるようになると自分でできることも増えて行くのが実感として分かるので、楽しくなってきました。

また、最近はこちらの自動車教習所にも通ってみました。教習中ももちろんすべてスペイン語。マニュアル車の操作法や、交通ルールを学ぶことはもちろん、運転しながら、なんでスペインのこんな田舎に来て住んでいるのか、日本とスペインはどんな風に違うのかなど、他愛のない会話をしたり、いろいろな場面でスペイン語力が鍛えられています。教習所の方も、私が教えてもらった新しいスペイン語のフレーズを使えるようになると、とても喜んでくれるので、楽しく学ぶことができています。

スペインでの生活ももう2年になり、そろそろ次のステップも考えています。それは、スペインでフルタイムでの仕事に挑戦すること。そのためにもスペイン語をさらに上達させたいと思っています。直近の目標は中級レベルの資格を取ることです！

これから

ここまでの私のスペイン移住についてお話しさせていただきましたが、今のところはこの先も永くこのスペインで過ごしていこうと思っています。日本の家族や友人が恋しくなることもありますが、私はスペインの田舎ライフもかなり気に入っています。まだ2年ですが、3年目で会社員を辞めてスペイン移住したことは私にとっては良い決断だったと心からそう思っています。言葉があまり通じなくても、そんなに裕福でなくても、心豊かに過ごせる日々にとても幸せを感じているからです。そして将来的には、ガリシアの良さを多くの方に伝えていけるような生業を夫婦で営んで行けたらな、というこの地でのささやかな夢も持っています。この先もきっと、言語以外にもたくさんの壁にぶつかること、仰天カルチャーショックに出会うこともあるかと思います。幸いなことに私の他にも、AIUの海外移住仲間がいるので、時にはお互い愚痴をこぼし合いながら、遠くからでも私を応援してくれているみんなへの感謝と移住に踏み切った楽天家マインドを忘れずにこれからも過ごしていきたいと思っています。