AIUの卒業生の進路は様々。各地域で、日本で、世界で、ありとあらゆる場所で生活している方々の人生やキャリアを、学生目線で記事にしていきます。
今回お話を伺ったのは現在JR東日本に勤めている13期生の宮嶋 耕平さん。「鉄道会社の」まちづくりに携わりたくて、入社した宮嶋さん。我々学生にとって仕事内容が気になるのはもちろんですが、「メイン事業の鉄道とまちづくり…一見関係がなさそうだけど、それを志望動機にして不安ではなかった?」といった就活の上での悩み。そのような就活の悩みについても聞いてみました!
名前:宮嶋 耕平さん
学年:13期生
所属サークル:AIU祭実行委員会 企画舞台部、GPIAS
卒業後は?:3年間京浜東北線の運転士を務めた後、4年目から駅というアセットを活用したまちづくり事業に携わっています!
今、何をしていますか?
今はいわゆる「まちづくりの部署」で勤務していますね。具体的には、JR東日本が2020年に開業した高輪ゲートウェイ駅という駅があります。山手線では約半世紀ぶりに誕生した新しい駅なのですが、JR東日本はこの駅を「エキマチ一体のまちづくり」として活用しているんです。TAKANAWA GATEWAY CITYと名付けて、大規模な開発を行なっています。
その中で私は、LiSHというビジネス創造施設の立ち上げから運営に携わっています。高輪ゲートウェイのLiSHは開業から約1年が経過しましたが、スタートアップや大企業、アカデミア、自治体等会員企業はすでに約200社にのぼります。
そして、このLiSHは今年3月に地域版の第一号として秋田にも開業し、その取り組みを地方にも拡大しています。
LiSHの中で具体的に私がしていることは、これら会員企業の方々と一緒に街を舞台にした実証実験や新規事業の創出を仕掛けているのが一つ。そしてもう一つが、スタートアップ企業へ投資を行い、JR東日本や共創パートナー企業のもつアセットと掛け合わせることで、新しいビジネスを生み出すことです。
LiSHとは?
TAKANAWA GATEWAY CITYの1施設「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub」の略称。バイオテクノロジーやヘルスケアなどの基礎研究ができる実験ラボを備えるほか、様々なスタートアップ企業のオフィスにもなっています。
多様で先端的な知や技術を持つ人(Scholars)をつなげ、かけあわせる(Link)ことで、新たなビジネス・文化を創造することを目指しています。
就活のギモン:メイン事業じゃない「まちづくり」を志望して、不安はなかった?
ここで今の今まで就職活動を行なっていた私は、1つ気になる疑問がありました。
「JR東日本といえば鉄道がメイン事業。それなのに『まちづくりがしたい』を前面に出して選考を受けることに不安はなかったのですか?」
就職活動を進めるにあたって、私は「会社のメイン事業に興味がないと落とされるのでは…」と身構えがちでした。JR東日本もまちづくり事業やsuicaサービスの拡充に力を入れていますが、メイン事業はあくまでも鉄道。しかし宮嶋さんはいたって「まちづくり」を軸として就職活動を行っていました。
そのことについて伺いましたが、宮嶋さんは「性格的にどちらかっていうと楽観タイプなのかな」と軽く苦笑いしつつ、「不安はなかった」と言います。
不安はなかったですね。なぜJRなのかというと、駅と街が一体となった開発や、幅広い沿線のまちづくりができる点があったからでした。さらにJR東日本は、都心だけでなく地方の開発も手がけています。私が学生の頃、JR東日本が開発したことで秋田の地価が何十年ぶりかに上がったというニュースを見て、「これほど社会的価値が高く、インパクトのある仕事ができるのはここしかない」と。
メイン事業である「鉄道(駅)」という圧倒的なアセットがあるからこそ、自分のやりたい「まちづくり」が他社にないスケールで実現できる。「鉄道に興味がない」のではなく、「鉄道があるからこそ、このまちづくりが生きる」という価値観を持っていたため、不安は一切なかったと言います。
「社会的価値」を押し出すことには
「これほど社会的価値が高く、インパクトのある仕事ができるのはここしかない」と述べた宮嶋さん。ここでまた疑問が浮かびます。以前私が参加したインターンシップにおいて事業提案をすると、ある社員の方から「社会的価値だけでなく、収益性も意識してね」とフィードバックをいただいたことがあります。
どこか「社会的価値」ばかりを面接で押し出すことに対して、少しの恐怖があった私。このことについても聞いてみました。
もし社会的価値を重視する姿勢をアピールして、落とされるのだとしたら、それは会社と自分の価値観が合っていなかったということ。自分の軸を伝えた上で採用されないのであれば、それはそれで正しい。むしろその姿勢に共感してくれる会社に入りたいという想いでしたね。
実際入社してみると、JR東日本も民間企業なので、収益性はかなり重視されますが(笑)
「自分を落としたら、合っていなかったんだな」
こと就活においてはよく言われる文言ですが、意外とそのようなマインドを持つことは難しい。しかし、このようなマインドはタフな就活を乗り切る上では大切なのかもしれません。
これからは
最後に今後の「野望」についても聞いてみました。
今後は海外でやっぱり働きたいなと思ってて。JR東日本はシンガポールをはじめとする東南アジア諸国やイギリスで海外事業を展開しています。特に東南アジアではJ-TOD(JR East-Transit Oriented Development)と称して、鉄道ネットワーク型のまちづくりを広げる取り組みをしています。日本で経験積んだので、そのノウハウを海外でも活かしていきたいなって思っていますね。そう思えるのも、AIUで過ごした環境があったからかもしれないです。
東日本圏内をフィールドにしているイメージがあったJR東日本。決して鉄道だけではなく、鉄道・駅を活かしたまちづくりを海外にも広げていました。海外のまちづくりにも貢献できるのはとても魅力的ですね!
取材してみて
今後の「野望」について伺った際、「目の前の仕事がめちゃくちゃ楽しい」と口元をうっすら緩めながら話していたのが印象的でした。
就職活動を終え、時折振り返ると「内定がほしい」とか「安心したい」と言った理由で妥協しがちだった自分を思い出します。それも全て不安だったからだと思いますが、きっとそれよりも大切なのは自分が何をしたいかをしっかりと持って伝えること。
それをしていたからこそ、宮嶋さんは「目の前の仕事がめちゃくちゃ楽しい」と言えるのかも。そう思いました。
また鉄道だからこそできるまちづくりも非常に魅力的です。圧倒的な「駅」というアセットを持つ鉄道会社だからこそできるまちづくり。それも東日本だけでなく、海外へ。まだまだ面白そうな事業がたくさんありそうです!

